後藤仁のスロー・クルージング
軍事関係図書(洋書中心。自腹で購入!)の書評と日々の雑感
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超音速全天候戦闘機 YaK-27(その3)
YaK-27シリーズの最終型となったのがYaK-27Vで、1955年から開発が進められたジェット・エンジンに加えて液体燃料ロケットエンジンを備えた、いわゆる複合動力使用の高速高高度迎撃機計画の一環として開発された機体でもある。

その開発は1956年11月16日に、単座複合動力迎撃機の開発を受注したことによりスタートした。この際に要求された基本性能は、巡航高度24,000~25,000mで20,000mまでの到達時間3分以内というものであった。この機体にはYaK-27Vの呼称が与えられたが、設尾記号のVはロシア語の高高度の頭文字を採ったものだ。本当にわかりやすくていい記号システムだナ。

この際に新たに開発されたアルマズ(ダイヤモンド)レーダーとASP-5NM自動照準装置、ゴリゾント1もしくはヴォストーク1地上管制データリンク装置、AP-28自動操縦装置、その他の特殊装備品の搭載が求まられたという。また武装は30mm機関砲NR-30 2門に加えて57mmロケット弾ARS-57Mを50発、もしくは85mmロケット弾ARS-85を16発、もしくは、190mmロケット弾TRS-190を4発とされた。

そして1956年12月6日に試作機製作が承認され、翌57年4月26日には試作機が初飛行を行い、4月末より飛行試験が開始された。このYaK-27Vの試作機はYaK-121から改造され、左右のエンジンナセルに収められたRD-9AKYeエンジンに加えて、胴体の尾端にS-155液体ロケットを装備したため、この部分の機体強度を高めるなどの改造が行われた。

また胴体内にはロケットエンジン専用の600リットルの燃料を収めるタンクが新設され、エンジンと合わせてその重量は3,085kgに達した。このため重量軽減も兼ねて後席は廃止され、レドームもYaK-27Kと同じものに変更した上で、その前端にピトー管を装着した。

さらに水平尾翼は遊動式に改められ、外翼部分はドックツースが導入されたことで、そのスタイルは尾端のロケット排出口を除けばYaK-27Kと大差ないものとなった。また最大離陸重量は12,050kgとYaK-27Kよりも若干重量が増大した。このためかアフターバーナーを使用して、高度14,000mでの最大速度は869km/hと音速を超えることはできなかった。

しかし高度14,000mでS-155ロケットを使用すると、その到達高度は23,500mに達し、20,000mでの最大速度はマッハ1.8を記録した。もっともロケットの燃焼時間は推力最小時で264秒、最大時で160秒と極めて短時間しか使用できず、このため高度20,000mでの巡航時間はマッハ1.6~1.8では3分強しかなかった。このために実用性に欠けると判断され、採用にはいたらずに終わった。

結局この複合動力を用いた高高度迎撃機計画は、最終的にMiG-19Sの胴体下面ににRU-013ロケット・エンジンを収めたフェアリングを備えるMiG-19SUが採用されたものの、結局5機が製作されたのみに終わった。ロケット・エンジンの致命的な問題である、短時間に限定された使用ではとても実用に耐えるものではないという結論に達したことは容易に理解できよう。

こうしてYaK-27シリーズはいずれも試作の域を出なかったが、その後YaK-27Kの発展型とも言えるYaK-28P迎撃戦闘機において、大輪の花を咲かせることになるがこれは別の話だ。
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YaK-27の原型機YaK-121から改造された試作機YAK-27V。外翼にドックツースが新設されていることに注意されたい。
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テーマ:軍事と兵器 - ジャンル:趣味・実用

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