後藤仁のスロー・クルージング
軍事関係図書(洋書中心。自腹で購入!)の書評と日々の雑感
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3Vボマーの継っ子 ヴィッカース・ヴァリアント
『Vickers Valiant: The First of the V-Bombers』

今は姿を消したけれど、1950年代に戦列化されたイギリス空軍の戦略爆撃機、いわゆる3Vボマーを覚えているだろうか? 単に機体名の頭文字がVから始まるということで与えられた呼称だが、イギリス核戦略の一端を担っていた輝かしい時期もあったのだ。

それぞれ機体のスタイルは大きく異なっており、デルタ翼のアブロ・ヴァルカン、三日月(クレセット)翼のハンドレページ・ヴィクター、そして一番オーソドックス、悪く言うと凡庸な高翼配置にまとめられたのが、今回紹介するヴィッカース・ヴァリアントである。

スタイルは異なると先に書いたが、共通していずれの機体も主翼付け根にエンジンを2基ずつ収めるという方式を採っていた。空気抵抗や流入空気などを考慮した結果このスタイルとなったのだろうが、3社ともに共通というのは面白い。

それにしても、ほとんど同じ目的で能力的にも大差ない戦略爆撃機を、時期をほぼ同じくして3機種も戦列化したというのはいかがなものだろうか? あのソ連だったそんなことはしていないゾ。これはイギリス空軍七不思議のひとつか?……そんなものはないけどネ。

というわけで今回は、お馴染みエアロファックスから刊行されている『Vickers Valiant: The First of the V-Bombers』を紹介したい。3Vボマーの中で最初に実戦化され退役も一番早かった本機だが、唯一核爆弾を落とした(もちろん実験であるが)機体でもあった。

そのオーソドックスなスタイルのせいか3Vボマーの中でも人気は一番低いようで、できのよしあしは別にして標準スケールである1/72でヴァルカンとヴィクターはインジェクションキットが存在するのに対して、ヴァリアントは無視された状況となっている。

その昔1/96という半端スケール(個人的には1/100と同じと見ているが)ではあるが、今はなきフロッグが3Vボマーをちゃんとキット化していたことを考えると、少々寂しい感がある。だからといってヴァリアントが大好きってわけじゃないゾ。念のため。

本書は過去の資料を含めて、ヴァリアントのモノグラフとしては最良のものであり、開発から各型(といっても試作型B.2と空中給油型BK.1だけだが)、搭載核爆弾、そして部隊史とまずは王道に則って解説されており、豊富な写真と取り説からの転載図が随所に配されている。

本機をベースとした旅客機型VC.7に関しても1章を割いて解説しており、BOAC(現BA)風の塗装を施した模型写真と簡単な3面図に加えて、80%まで完成していた胴体写真と、各所で切断されてスクラップとなるのを待つ胴体と主翼の写真が掲載されている。

イギリスが開発した自由落下型核爆弾ブルー・ビアードや、結局ものにならなかった核ミサイルとして知られるブルー・スティールのダミーを用いた搭載試験の写真などを含めて、1章を用いて語られる当時のイギリス航空機搭載核兵器に関する記述は必見だろう。

カラーは巻末に6ページが用意されているが、カラー側面図などはない。ただし寸法を記入したモノクロの塗装仕様図が載せられており、写真や図も結構多くモデラーがキットを製作(っておい、あのアニグランドじゃないだろうナ)する際には何かと役立とう。

手頃な値段と価格以上の内容なので、これを機会にエアロファックス・シリーズの3Vボマーを揃えるのも一興か。なお購入の際は、他の洋書店よりも半分前後も安価なアマゾンでの購入をお勧めする。送料も必要ないしネ。

Vickers Valiant: The First of the V-Bombers (Aerofax)Vickers Valiant: The First of the V-Bombers (Aerofax)
(2003/04)
E. B. Morgan

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テーマ:軍事と兵器 - ジャンル:趣味・実用

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