後藤仁のスロー・クルージング
軍事関係図書(洋書中心。自腹で購入!)の書評と日々の雑感
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出たときはMiG-23と呼ばれたのに…
第二次大戦後におけるソ連およびロシア機が好きなことは、たびたびこのブログでも書いてきた。昔はほとんど資料がなく、まさに「群盲象を撫ぜる」の例えではないが神秘のベールに包まれた感が強く、それも好きになったところだと思う。

それが1991年のソ連邦崩壊により、一挙に様々な資料があふれ出し、今ではアメリカ機よりも知られている部分が多くなってしまったほどだ。まあこれはこれで有り難いことではある。興味のある機体に限ってはいるのだが、結構新刊が矢継ぎ早にリリースされ、飲むのを削って購入している次第(これはちょっと嘘)。

西側の発想とは異なる面白い機体揃いなのだが、今回はその中からMiG設計局が新世代迎撃機として試作したYe152シリーズを紹介したい。MiG-21を双発にしたようなスタイルは当時斬新そのもので、大滝が1/144スケールでキット化したほどだ。

空軍とは別組織の迎撃専門部隊である防空軍は、1950年代初めから新型レーダーFCS“ウラーガン5”と自動迎撃誘導システムの開発に取り組んだ。そしてMiG設計局は、その機材を搭載する機体開発を1950年代半ばより開始に踏み切った。

この機体がI-75で、これにわずかに遅れてより強力なエンジンR15-300を搭載するYe-150の開発が開始された。しかし装備予定のR15-300エンジン開発が遅延していたため、1959年に急遽より推力の小さな小型エンジン2基を装備する機体が開発されることになった。

これがYe-152Aで、機体自体はYe-150を踏襲していたが後部胴体が左右に広げられ、R11F-300エンジン(3,880kg)2基を並列に収容した。それ以外はYe-150と同一だが、機内に燃料タンクが1個新設されて燃料搭載量が増大したのも特徴となっている。

しかしこのような努力にもかかわらず、R15-300エンジンを装備したYe-150の試作機が1960年7月8日とYe-152Aに先駆けて初飛行を行っているので、その努力は残念ながら無駄であったことになる。

Ye-152Aの試作機は1960年6月に完成し、地上タキシング試験の後、7月10日に設計局のテストパイロット ゲオルギー.K.モソロフの手により初飛行に成功した。飛行試験では高度13,700mで2,135km/h、20,000mで2,500km/hという高性能を発揮し、10,000mまで1分48秒で到達するという上昇性能も当時としては際立つものであった。

そしてこの試作機は、1961年7月9日の航空記念日においてモスクワ近郊のツシノ飛行場上空をMiG設計局で開発されたK-9-155空対空ミサイル2発tただしダミー)を装備した状態でフライバイし、これを目撃した西側ではMiG-21の後継機と判断して、MiG-23「フリッパー」の呼称を与えたほどであった。

しかしYe-152Aはあくまでも場つなぎ的に製作された機体であり、本命はYe-150の発展型としてR15B-300猿人を装備するYe-152であった。このためYe-162Aは兵装と装備品の試験機としての任務に供され、1965年に墜落して機体は失われ、計画も終了した。

本命視されたYe-152は、Ye-150およびYe-152Aと大差ない機体だが、エンジンはR15B-300(6,800kg)の単発で、主翼面積が一回り拡大されて翼端がカットされた独自のスタイルに改められた。また燃料収容量はYe-152Aの4,400リットルから、4,960リットルに増大(実際に使えたのは4,850リットルだったが)していたことも変化のひとつだ。

レーダーはYe-152Aと同じウラーガン5Bを踏襲し、爆撃機サイズの目標ならば45~50kmで探知が可能であった。搭載する空対空ミサイルも替わらず、セミアクティブ誘導方式のK-9-155が用いられたが、装備位置は翼下面のパイロンから主翼端に移されていた。

飛行試験では、高度22,500mで2,740km/hという高性能を見せ、Ye-152Aがダミーの空対空ミサイルを2発搭載した状態での最大速度1,650km/h(高度13,000m)に対して、マッハ2.28(18,000m)とさらなる韋駄天振りを発揮した。

このYe-152は試作機2機が製作されて試験に供されたが、牙であるK-9空対空ミサイルが最後までものにはならず、Ye-152の2号機がその飛行試験スケジュールの60%を消化した時点で開発中止となり、その結果としてYe-152も計画中止に追い込まれてしまった。

しかしMiG設計局はあきらめずに開発を続け、その後机上の計画であるYe-152Pを経て数々の速度記録を樹立したYe-152Mに発展するのだが、これはまた別の機会に譲ろう。なお参考として、MiG-21とYe-152Aの主要データを以下に記しておく。

MiG-21F-13:全幅7.15m、全長14.10m、全高4.71m、翼面積23.0㎡、自重4,871kg、最大離陸重量9,120kg
Ye-152A:全幅8.49m、全長19.0m、全高 不明、翼面積32.02㎡、自重 不明、最大離陸重量13,550kg
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テーマ:軍事と兵器 - ジャンル:趣味・実用

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