後藤仁のスロー・クルージング
軍事関係図書(洋書中心。自腹で購入!)の書評と日々の雑感
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『パンツァー・トラツク 1tハーフトラックSdkfz.10』
前に『パンツァー・トラツク』を紹介したが、アウトラインを綴っただけに終わったので、今回は最新作であるNo.22-1「1t軽半装軌牽引車輌Sdkfz.10」を紹介しよう。昔から好きだったんだよナ、Sdkfz.10って。

ハーフトラックは、装輪式車輌の速度と軽便さ、装軌式車輌の不整地走行能力を兼ね備えるものとして第一次大戦において登場した車種であり、ドイツ軍は再軍備に際して各種火砲の牽引を目的とし牽引力で分けた各サイズのハーフトラックを積極的に開発した。

そのなかでも1tハーフトラックSdkfz.10はもっとも小型軽量の車輌で(ケッテンクラートはさらに小型だが、あれは例外としておこう)、7.5cm重歩兵砲sIG33や3.7cm対戦車砲PaK36、2cm高射機関砲FlaK30/38などの牽引を目的に開発された。

Sdkfz.10は決して資料がないという車輌ではないが、これまたバイブル的な存在でありようやく英訳版がリリースされたモータブッフ刊の『ドイツ半装軌車輌』でも、あまり詳しいことは書かれておらず、解説者泣かせの車輌の一つでもあった。そんな状況だから本書が刊行された意義は大きなものがある。

まずは開発から始まるが、ドイツ側のドキュメントは発見されなかったのか、戦後イギリス技術情報部がまとめたレポート「ドイツ軍ハーフトラック開発」が掲載されている。まあこれはこれでよいだろう。加えてマイバッハ社や陸軍総司令部のレポートも掲載され、資料的価値も高い。

これにより今まで少数生産と思われていた先行生産型D6が、81輌(これも大きな数字ではないが)完成したことが判明した。続いて技術的特徴が語られるが、これは1939年3月1日はTぅこうの取説D672/3を抜粋したものだ。

今まで知らなかったのだが、Sdkfz.10にはA型とB型が存在したことが本書により判明した。その詳細は近いうちに『グランドパワー』誌で紹介したい。また月別の生産表も用意されており、これを見ると生産は1944年11月まで続けられていたことがわかった。

読者が一番興味を持つであろう生産中の変遷に関しては、図を交えながら解説されており、A型とB型のシャシーがかなり異なっていたことが視覚的に納得できる。このあたりの記述は『パンツァー・トラツク』ならではのものだ。 続いて編成に関して簡単に触れた後、派生型の解説に移る。

これまで断片的にしか伝えられず、その実態が不明だった毒ガス検知車Sdkfz.10/1、同洗浄車Sdkfz.10/2、同散布車Sdkfz.10/3の解説は必読だろう。またこの3車種に関する編成についても触れられ、毒ガスがらみの装備を外して牽引型となった車輌の写真も用意されている。

そして最後は2cm高射機関砲を搭載したSdkfz.10/4、10/5型がまとめられており、これまた車輌はむろんのこと、2cmFlaK30/38の図面も掲載されている。傑作とは言い難い、イタレリ1/35キットをディテールアップするには欠かせないものだろう。

まだ拾い読みしただけでほとんど未読ではあるが、生産の時期からSdkfz.10/4は大半がA型シャシーを用い、Sdkfz.10/5は全車がB型シャシーを用いて完成したと見てよさそうだ。もちろん対空型の編成についても記述されており、Sdkfz.10ファンならばそばに置いておきたい一冊だろう。
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テーマ:軍事と兵器 - ジャンル:趣味・実用

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